ある青年期アスペルガー障害者における自己理解の変容: 自己理解質問および心理劇的ロールプレイングをとおして

滝吉 美知香, 田中 真理

Research output: Contribution to journalArticlepeer-review

Abstract

あるアスペルガー障害者における自己理解の変容過程について、心理劇的ロールプレイング(PDRP)をとおして検討した。青年期の高機能広汎性発達障害者10名から成る集団において、月1回約1年半のPDRPを実施し、前後にDamon and Hart(1988)の自己理解質問を用いた調査を行った。PDRP実施前、自己の行動スタイルを中心に、他者とのやりとりをとおして自己を否定的に理解していた対象者は、PDRP実施後、自己の人格特性を中心に、肯定・否定の両側面から自己を理解するようになった。PDRPにおいては、グループメンバーに対して自己との漠然とした類似性を感じ、安心感を形成する時期から、他者との具体的な類似性・差異性をとおして、自己の多様性への気付きが促される時期を経て、メンバー以外の他者(障害のない他者)との関係の中で自己について考えることに混乱を生じた時期へと移行した。PDRPの技法および「対象化」「相対化」の機能と、対象者の自己理解の変化との関連について考察を行った。
Original languageJapanese
Pages (from-to)279-290
Number of pages12
Journal特殊教育学研究 = The Japanese journal of special education
Volume46
Issue number5
DOIs
Publication statusPublished - 2009

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