Abstract
野生化ヤギ(ノヤギ)の駆除後、生態系機能の回復過程を評価するために、ノヤギ駆除から約10年経過した媒島の草地生態系において、植生のバイオマス、土壌の化学的特性、ノヤギの駆除前後のイベント(ノヤギ駆除前の植生の退行に伴う裸地化、ノヤギ駆除後の海鳥の営巣)との関係を間接効果も含めて明らかにした。植生の地上部バイオマス、土壌の化学的特性(全炭素量、全窒素量、有効態リン酸量、置換酸度)、ノヤギ駆除前(1991年)における裸地化の有無、海鳥の営巣の有無、という変数聞の各関係とこの関係の相対的な強さを評価した。ノヤギ駆除前の植生の裸地化は、土壌の置換酸度の上昇を介して、植生の地上部バイオマスを減少させる可能性が示唆された。また、ノヤギ駆除後に海鳥の営巣に伴う土壌栄養塩量の増加は、海鳥の営巣と地形や現存植生の種構成との関係に依存することが示唆された。以上からノヤギ駆除後の生態系機能の回復の有無や程度は、複数の生物的、非生物的要因が直接的、間接的によって影響を受けることが示唆された。
Original language | Japanese |
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Pages (from-to) | 75-85 |
Number of pages | 11 |
Journal | 小笠原研究年報 |
Issue number | 38 |
Publication status | Published - 2014 |