Abstract
日本や中国をはじめ世界各国で人々の健康を脅かす食品安全の問題への関心が高まっている。食品安全の問題は、消費者の生活を損ねるだけではなく、食料産業の発展や市場競争力にも影響する波及効果の大きな問題である。2008年9月13日に発生したいわゆる「粉ミルク問題」は、近年しばしば報道されている中国の食品安全問題が再び世界的な注目を浴びる契機となった。乳製品全般の原料となる牛乳の品質偽装のために、食品添加など想定外の化学物質メラミンが意図的に混入されたため、中国産乳製品全般の安全性に世界的規模の大きな影響を及ぼす事態となった。具体的には、チョコレート、キャラメルなどの乳製品の安全問題が派生的に発生し、中国国内においても食品安全管理体制全体に大きな問題が存在するとの認識が広まると共に、輸出相手国においては中国食品に対する不安が増幅された。本稿では牛乳を例に取り、「粉ミルク問題」が中国における食品安全に対する消費者意識と政策に及ぼした影響を明らかにする。
Original language | Japanese |
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Pages (from-to) | 13-21 |
Number of pages | 9 |
Journal | 九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 |
Volume | 65 |
Issue number | 1 |
Publication status | Published - Feb 2010 |