Abstract
第2次世界大戦後、戦後の混乱から抜け出し、急速な経済発展を遂げる中で、政府主導による国産農水産物輸出拡大の動きは2回あった。第1回目の動きは、「農水産物輸出推進のための予算が急増した」1989年ごろから1995年にかけて進められた。第2回目が2005年1月の通常国会で小泉純一郎首相(当時)が施政方針演説で「攻めの農政=国産農水産物輸出の振興」策を打ち出したことが契機となった国産農産物輸出拡大策だった。「攻めの農政」の旗の下、小泉政権時には「5年間で6000億円に倍増」、続く安倍政権では「平成25年に1兆円」と目標は引き上げられた。本稿では、経済界などが、「日本農業を成長産業として捉え、世界市場に進出せよ」と主張する中で、戦後2回の政府主導による輸出目標策定の経緯と問題点を検証し、具体性のある輸出戦略構築の課題を考察する。
Original language | Japanese |
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Pages (from-to) | 107-119 |
Number of pages | 13 |
Journal | 九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 |
Volume | 65 |
Issue number | 2 |
Publication status | Published - Oct 2010 |