Abstract
外国人と日本人の言語学習場面において互恵性はどのように学習に影響を与えるのだろうか。本稿では、互恵性を原則の1 つとするタンデム学習の学習場面で、互恵性の原則がタンデム学習の枠組みの中で実際にどのように学習者の意識や行動に影響を与え、もう1 つの原則である学習者オートノミーを高めるのかを検討する。研究協力者は、対面式タンデム学習を行った日本語学習者Mel さんと英語学習者Jun さんのペアである。研究方法には、手段的な単一ケース・スタディを採用した。分析の結果、互恵性の原則によって支えられたタンデム学習場面において、互いを「対等な言語学習パートナー」であると認識し、「相手の学習をサポートする責任感」が高められていたことがわかった。さらにタンデム学習の互恵性の原則からもたらされた自身の学習への責任感に、相手の学習をサポートする責任感から生じた自分の学習への責任感が合わさることで、タンデム学習の学習計画を立てるとき、またタンデム学習活動中の主体的な発話と聞き返し行動において、学習者オートノミーが高められていたことが明らかになった。
Translated title of the contribution | The process of how reciprocity promotes learner autonomy: A case study of a Japanese-English tandem pair |
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Original language | Japanese |
Pages (from-to) | 75-102 |
Number of pages | 28 |
Journal | 阪大日本語研究 |
Issue number | 24 |
Publication status | Published - Feb 2012 |