Abstract
京都議定書における温室効果ガス削減目標が設定されて以来,エネルギー消費への関心が広がるとともに炭素動態に関するデータが蓄積されてきた。我が国で削減目標('90年比6%減)に対する約束期間(2008~2012)内の達成見込みが得られた(2012年12月現在)背景には詳細なデータの積み上げがあった。その膨大なデータには各土地利用における土壌炭素変化量の算出も大きく貢献している。土壌炭素の変化量を算出するためには土壌炭素賦存量が必要であり,そのデータベースの構築と算出法の開発は大きな成果といえる。この成果は,さらに続く排出削減目標に対し,算出法の最適化を図るための基盤になると考えられる。そこで,本シンポジウムでは,国土面積の占有割合が高い森林と農地での土壌炭素賦存量と変化量の算出結果と今後の課題を取り上げた。一方,それら土地利用に含まれない領域として都市域の土壌炭素賦存量算出の問題点も指摘した。さらに,土壌炭素変化量に影響する土壌有機物の分解特性と存在形態に関する話題を挙げた。また,様々な土壌における有機物の多様性を質的データで示し,さらにその変化の方向性についても論及した。土壌炭素に関する量的・質的な取扱いの両面から日本の土壌炭素賦存量について論議を行った。
Translated title of the contribution | Discussion for soil carbon stock in Japan from the view point of the carbon quantity and quality |
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Original language | Japanese |
Pages (from-to) | 224-229 |
Number of pages | 6 |
Journal | 日本土壌肥料学雑誌 = Japanese journal of soil science and plant nutrition |
Volume | 84 |
Issue number | 3 |
Publication status | Published - Jun 2013 |