Abstract
ゲルマン語第VI類過去現在動詞である*ō g-「恐れている」が,印欧祖語のどのような語 基を反映したものであるが,従来の印欧語及びゲルマン語比較言語学研究では,定説と言 えるものが存在しない。本論文の目的は,過去の研究それぞれの長所及び短所を洗い出し, その上で新たな説明を提案することである。 本論文の提案は,*ō g-を生み出した印欧祖語の語基の構造は,*h_2e-H-gh-と表示される ものであり,それは語根*h_2e-H-gh-の母音後位置にラリンジャル子音が接中辞として挿入さ れたものであるということである。このようなラリンジャル子音の(母音後位置への)接 辞は,Karstien(1971)によって提唱された印欧祖語一般接中理論によって認可されるもの であることを主張し,ラリンジャル子音の語根への接中という設定への独立的動機付けが 存在することを,ゲルマン語内資料を用いて独自に裏付けている。
Original language | English |
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Pages (from-to) | 139-148 |
Number of pages | 10 |
Journal | 言語文化論究 |
Volume | 13 |
DOIs | |
Publication status | Published - Feb 28 2001 |