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1987 …2013
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個人プロファイル

研究の対象

  岡野潔の研究の紹介
 専門領域:「インド仏教学」

 サンスクリット語・パーリ語・古典チベット語で書かれたインドの仏教文学(仏伝文学と説話文学)と,インド小乗仏教諸部派のコスモロジーを研究している。ネパール写本を用いて仏教文献の校訂作業と翻訳を行なっている。

 私(岡野潔)の2016年までの研究内容を次の様に(1)〜(8)に分類した上で、これまでの研究の歩みを踏まえつつ、業績を説明したい。

(1)梵文『ラリタヴィスタラ』を中心にしたインドの仏伝作品の研究
(2)正量部の歴史的宇宙論書『大いなる帰滅の物語』MahAsaMvartanIkathA などの研究
(3)梵文『菩薩アヴァダーナの如意鬘』BodhisattvAvadAnakalpalatAの研究
(4)梵文『善説・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』SubhASitamahAratnAvadAnamAlAの研究
(5)梵文『アヴァダーナ・シャタカ』AvadAnazataka の研究
(6)梵文『如来出生アヴァダーナマーラー』 TathAgatajanmAvadAnamAlA の研究
(7)ハリバッタの『ジャータカマーラー』の研究
(8)その他

 私は東北大学大学院博士課程在籍時に、塚本啓祥教授の指導の下に、インド仏教文学文献の分野を対象に、世界の諸機関に現存する梵語の写本情報をまとめつつ、同時に英文・独文・仏文・邦文の諸研究を出来る限り蒐集して、その内容を示し、過去から現在に至る研究の流れを明らかにするという作業を行った。(この仕事は『梵語仏典の研究 I 初期経典篇』の一部となるはずのものであり、私が書いた400字詰原稿用紙約700枚分のその原稿は、出版計画が頓挫した後に、1998年にインターネットで公開された。)
 同時に博士課程の研究として、古代インド仏教徒が梵語で作った発達した仏伝(釈尊の伝記)の諸作品である『ラリタヴィスタラ』や『マハーヴァストゥ』を研究した。特に(1)大乗経典『ラリタヴィスタラ』の形成過程に関する研究を中心に「普曜経の研究」などの論文を発表した。1990年に日本学術振興会特別研究員(ポスト・ドクター、2年間)に採用され、その研究課題「ラリタヴィスタラ・サンガベーダヴァスツを中心とした梵語仏伝文献の研究」に沿って、梵文の仏伝作品の研究に関する論文を1993年まで発表した。
 1992年にドイツに留学し、語学学校ゲーテ・インスティチュートを経て、1993年からマールブルク大学の博士課程に入り、ミヒャエル・ハーン博士とエックハルト・バンゲルト(比丘パーサーディカ)博士の指導を受け、その年から研究の中心が仏伝から宇宙論へ移ることになった。博士論文の研究テーマは正量部の歴史的宇宙論の書である『大いなる帰滅の物語』(全6章から成る12世紀の仏教カーヴィヤ)であり、そのため1994年以降に発表する論文はほぼ、その作品や正量部の他の宇宙論作品に関する内容の論文になった。この正量部についての研究は1994年以来現在に至るまで、毎年継続して行ってきた。特に2002年からは2017年まで九州大学文学部『哲学年報』に『大いなる帰滅の物語』と他の正量部文献に関する一連の研究を毎年発表し続けた。その結果、(2)『大いなる帰滅の物語』については、2016年までに作品全部の校訂と和訳を『哲学年報』に発表し終えている。
 マールブルクで哲学博士号を取得して帰国後、東北大学で5年間非常勤講師を勤めた後、2002年に九州大学の助教授に就任し、その3年後の2005年からネパール写本を用いたアヴァダーナの諸作品の研究を本格的に開始した。まず(3)『菩薩アヴァダーナの如意鬘』(全108章から成るクシェーメーンドラ作の仏教説話集)についての研究を開始し、2005年に『菩薩アヴァダーナの如意鬘』とネパールの「アヴァダーナ・シャタカ系統のアヴァダーナマーラー類」の文献群との関係についての論文を発表した。
 続いて(4)『善説・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』 (全42章から成る仏教説話集)についても本格的に写本研究を開始し、2006年にまずその作品のネパール写本の内容と、その写本の価値を報告した。
 この(3)と(4)の梵文仏教説話作品は浩瀚な作品であるので、私はその後10年以上にわたって、それらの作品中の諸章に関する論文を現在まで書き続けてきた。
 (3)『菩薩アヴァダーナの如意鬘』についてはミヒャエル・ハーン博士と出本充代博士の助力を得て、2016年までに50章、55章、76章、77章、80章、81章、82章、83章、91章、92章、94章、95章、96章、97章の合計14の章の校訂と翻訳を『南アジア古典学』誌上に発表した。
 (4)『善説・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』については2016年までに16章、17章、23章、30章、31章、33章、34章、35章、38章の合計9つの章の校訂と翻訳を発表した。
 この(4)『善説・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』は、ネパールで成立した「アヴァダーナ・シャタカを韻文に再話したアヴァダーナマーラー類」に属する作品であるため、それらのアヴァダーナマーラー作品群の主な源泉資料としての(5)梵文『アヴァダーナ・シャタカ』(全100章から成るインドの仏教説話集)の作品の研究を同時に行う必要があった。そのため(5)梵文『アヴァダーナ・シャタカ』については、2016年までにその作品の46章、47章、48章、49章、66章、69章、85章、97章の和訳を発表した。(この『アヴァダーナ・シャタカ』は J.S. Speyerによる梵文の校訂本がすでに出ているため、私自身は翻訳において1写本を参照しているものの、校訂は行っていない。)
 これらのアヴァダーナ諸作品の研究に加えて、2011年頃から私はネパールの仏伝(釈尊の伝記)を内容とするアヴァダーナ・マーラーである(6)『如来出生アヴァダーナマーラー』 (全37章から成る釈迦牟尼仏の伝記)の研究を始めた。この作品は別名を『パドヤ(韻文)・ラリタヴィスタラ』といい、大乗経典『ラリタヴィスタラ』などのインドの梵文資料を主要な源泉資料としてネパールで作られた梵文のアヴァダーナマーラー文献である。この作品について2013年に最初の論文を発表してから、その後継続的に私はこの作品の校訂と飜訳を行ってきた。2016年10月までに、(6)『如来出生アヴァダーナマーラー』 の文献について第1章、第3章、第4章、第8章の合計4つの章の校訂と翻訳を発表した。
 2016年から新たに始めたのが(7)『ハリバッタ・ジャータカマーラー』の和訳研究である。まず第11章『鹿ジャータカ』を和訳した。(この重要な作品の諸章の和訳は今後継続される。)
 以上が2016年までの岡野の主要な業績であるが、それら(1)〜(7)の研究に含まれない、(8)「その他」として、次の研究もあることを紹介したい。まず1990年と1999年に論文を発表した、古代インドの仏蹟巡礼の思想の研究。2006の『無熱悩池の偈頌』 anavataptagAthA の研究。そして2010年に2本の論文を発表した『大乗方便経』 UpAyakauzalyasUtra の研究。この『大乗方便経』については研究をこれからも続けてゆく予定である。

Personal profile

  岡野潔の研究の紹介
 専門領域:「インド仏教学」

 サンスクリット語・パーリ語・古典チベット語で書かれたインドの仏教文学(仏伝文学と説話文学)と,インド小乗仏教諸部派のコスモロジーを研究している。ネパール写本を用いて仏教文献の校訂作業と翻訳を行なっている。

 私(岡野潔)の2016年までの研究内容を次の様に(1)〜(8)に分類した上で、これまでの研究の歩みを踏まえつつ、業績を説明したい。

(1)梵文『ラリタヴィスタラ』を中心にしたインドの仏伝作品の研究
(2)正量部の歴史的宇宙論書『大いなる帰滅の物語』MahAsaMvartanIkathA などの研究
(3)梵文『菩薩アヴァダーナの如意鬘』BodhisattvAvadAnakalpalatAの研究
(4)梵文『善説・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』SubhASitamahAratnAvadAnamAlAの研究
(5)梵文『アヴァダーナ・シャタカ』AvadAnazataka の研究
(6)梵文『如来出生アヴァダーナマーラー』 TathAgatajanmAvadAnamAlA の研究
(7)ハリバッタの『ジャータカマーラー』の研究
(8)その他

 私は東北大学大学院博士課程在籍時に、塚本啓祥教授の指導の下に、インド仏教文学文献の分野を対象に、世界の諸機関に現存する梵語の写本情報をまとめつつ、同時に英文・独文・仏文・邦文の諸研究を出来る限り蒐集して、その内容を示し、過去から現在に至る研究の流れを明らかにするという作業を行った。(この仕事は『梵語仏典の研究 I 初期経典篇』の一部となるはずのものであり、私が書いた400字詰原稿用紙約700枚分のその原稿は、出版計画が頓挫した後に、1998年にインターネットで公開された。)
 同時に博士課程の研究として、古代インド仏教徒が梵語で作った発達した仏伝(釈尊の伝記)の諸作品である『ラリタヴィスタラ』や『マハーヴァストゥ』を研究した。特に(1)大乗経典『ラリタヴィスタラ』の形成過程に関する研究を中心に「普曜経の研究」などの論文を発表した。1990年に日本学術振興会特別研究員(ポスト・ドクター、2年間)に採用され、その研究課題「ラリタヴィスタラ・サンガベーダヴァスツを中心とした梵語仏伝文献の研究」に沿って、梵文の仏伝作品の研究に関する論文を1993年まで発表した。
 1992年にドイツに留学し、語学学校ゲーテ・インスティチュートを経て、1993年からマールブルク大学の博士課程に入り、ミヒャエル・ハーン博士とエックハルト・バンゲルト(比丘パーサーディカ)博士の指導を受け、その年から研究の中心が仏伝から宇宙論へ移ることになった。博士論文の研究テーマは正量部の歴史的宇宙論の書である『大いなる帰滅の物語』(全6章から成る12世紀の仏教カーヴィヤ)であり、そのため1994年以降に発表する論文はほぼ、その作品や正量部の他の宇宙論作品に関する内容の論文になった。この正量部についての研究は1994年以来現在に至るまで、毎年継続して行ってきた。特に2002年からは2017年まで九州大学文学部『哲学年報』に『大いなる帰滅の物語』と他の正量部文献に関する一連の研究を毎年発表し続けた。その結果、(2)『大いなる帰滅の物語』については、2016年までに作品全部の校訂と和訳を『哲学年報』に発表し終えている。
 マールブルクで哲学博士号を取得して帰国後、東北大学で5年間非常勤講師を勤めた後、2002年に九州大学の助教授に就任し、その3年後の2005年からネパール写本を用いたアヴァダーナの諸作品の研究を本格的に開始した。まず(3)『菩薩アヴァダーナの如意鬘』(全108章から成るクシェーメーンドラ作の仏教説話集)についての研究を開始し、2005年に『菩薩アヴァダーナの如意鬘』とネパールの「アヴァダーナ・シャタカ系統のアヴァダーナマーラー類」の文献群との関係についての論文を発表した。
 続いて(4)『善説・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』 (全42章から成る仏教説話集)についても本格的に写本研究を開始し、2006年にまずその作品のネパール写本の内容と、その写本の価値を報告した。
 この(3)と(4)の梵文仏教説話作品は浩瀚な作品であるので、私はその後10年以上にわたって、それらの作品中の諸章に関する論文を現在まで書き続けてきた。
 (3)『菩薩アヴァダーナの如意鬘』についてはミヒャエル・ハーン博士と出本充代博士の助力を得て、2016年までに50章、55章、76章、77章、80章、81章、82章、83章、91章、92章、94章、95章、96章、97章の合計14の章の校訂と翻訳を『南アジア古典学』誌上に発表した。
 (4)『善説・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』については2016年までに16章、17章、23章、30章、31章、33章、34章、35章、38章の合計9つの章の校訂と翻訳を発表した。
 この(4)『善説・大ラトナ・アヴァダーナマーラー』は、ネパールで成立した「アヴァダーナ・シャタカを韻文に再話したアヴァダーナマーラー類」に属する作品であるため、それらのアヴァダーナマーラー作品群の主な源泉資料としての(5)梵文『アヴァダーナ・シャタカ』(全100章から成るインドの仏教説話集)の作品の研究を同時に行う必要があった。そのため(5)梵文『アヴァダーナ・シャタカ』については、2016年までにその作品の46章、47章、48章、49章、66章、69章、85章、97章の和訳を発表した。(この『アヴァダーナ・シャタカ』は J.S. Speyerによる梵文の校訂本がすでに出ているため、私自身は翻訳において1写本を参照しているものの、校訂は行っていない。)
 これらのアヴァダーナ諸作品の研究に加えて、2011年頃から私はネパールの仏伝(釈尊の伝記)を内容とするアヴァダーナ・マーラーである(6)『如来出生アヴァダーナマーラー』 (全37章から成る釈迦牟尼仏の伝記)の研究を始めた。この作品は別名を『パドヤ(韻文)・ラリタヴィスタラ』といい、大乗経典『ラリタヴィスタラ』などのインドの梵文資料を主要な源泉資料としてネパールで作られた梵文のアヴァダーナマーラー文献である。この作品について2013年に最初の論文を発表してから、その後継続的に私はこの作品の校訂と飜訳を行ってきた。2016年10月までに、(6)『如来出生アヴァダーナマーラー』 の文献について第1章、第3章、第4章、第8章の合計4つの章の校訂と翻訳を発表した。
 2016年から新たに始めたのが(7)『ハリバッタ・ジャータカマーラー』の和訳研究である。まず第11章『鹿ジャータカ』を和訳した。(この重要な作品の諸章の和訳は今後継続される。)
 以上が2016年までの岡野の主要な業績であるが、それら(1)〜(7)の研究に含まれない、(8)「その他」として、次の研究もあることを紹介したい。まず1990年と1999年に論文を発表した、古代インドの仏蹟巡礼の思想の研究。2006の『無熱悩池の偈頌』 anavataptagAthA の研究。そして2010年に2本の論文を発表した『大乗方便経』 UpAyakauzalyasUtra の研究。この『大乗方便経』については研究をこれからも続けてゆく予定である。

Fingerprint Kiyoshi Okanoが取り組む研究トピックをご確認ください。これらのトピックラベルは、この人物の研究に基づいています。これらを共に使用することで、固有の認識が可能になります。

Verse Arts & Humanities
Leaves Arts & Humanities
Scribe Arts & Humanities
Nepal Arts & Humanities
Borrowing Arts & Humanities

研究成果 1987 2013

Avadanakalpalataからavadanamala類へ

岡野潔, 12 2005, : : 印度學佛教學研究. 54, 1, p. 367-374 6 p.

研究成果: ジャーナルへの寄稿記事

Avadanakalpalata から avadanamala 類へ

岡野潔, 2005, : : 印度學佛教學研究. 54, 1, p. 374-367,1270 8 p.

研究成果: ジャーナルへの寄稿記事

Verse
Nepal
Leaves
Borrowing
Scribe

『大いなる帰滅の物語』 (Mahasamvartanikatha): 第5章2節〜4節と並行資料の翻訳研究

岡野潔, 3 5 2005, : : 哲學年報. 64, p. 1-32 32 p.

研究成果: ジャーナルへの寄稿記事