抄録
明治政府から多額の殖産興業資金が散布された中で、最も返却率が悪かった起立工商会社を対象として、その経営のあり方を明らかにした。起立工商会社は、佐賀藩士族であった松尾儀助が、同じく佐賀藩出身の大隈重信・佐野常民らの協力によって、政府融資をもとに設立した直輸出商社である。井上馨ら長州閥が三井物産を支援し、黒田清隆ら薩摩閥が広業商会を支援していた時期のことである。しかし起立工商会社は直輸出に失敗し、明治14年政変の前に大隈重信らによって縮小されていったのである。
本文言語 | 日本語 |
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ページ(範囲) | 59-74 |
ページ数 | 16 |
ジャーナル | 経済学論集 |
巻 | 71 |
号 | 4 |
出版ステータス | 出版済み - 1月 2006 |